ソリッドワークスで寸法入れをする際に公差を追加する場合にいくつかのオプションが用意されている。
代表的な寸法公差を設定方法もかねて紹介します。
なし
一般的に寸法に公差を付けない場合は、普通公差(JIS B 0405)が適用されます。
普通公差には等級があり、等級区分を指示するために、注記として「指示のない寸法は、JIS B 0405-mを適用する」などと表記する。
また、注記だけだと加工者側で公差値の確認作業が発生するため公差表を追加する。
基準寸法
「理論的に正確な寸法」として指示する場合は、基準寸法に設定します。
寸法数値が四角い枠で囲まれます。
理論的に正確な寸法は、公差を適用する場合は幾何公差にて指示を出す時に使います。
(データムを面に指示したときは「理論的に正確な面」のように幾何学的基準と同様に扱います。)
上下寸法許容差
上の許容差を下の許容差を2段で指示する場合は、上下寸法許容差に設定します。
符号なしで数値を設定した場合は、上はプラス(+)符号、下はマイナス(-)符号が自動でつき、0値の場合は、自動で符号なしになります。
+0.2/+0.1のように、下の公差値がプラスの場合、+(プラス)を数値入力の前に入力することで、符号を切り替えることが可能です。
普通許容差
プラス側の許容差とマイナス側の許容差が同じ場合は、±を用いて1段で表示し、その際には、普通許容差に設定します。
「JIS B 0405の普通公差」を適用する場合の寸法数値には、公差は省略し、それよりも公差を厳しくする場合などに普通許容差設定を使います。
はめあい
穴と軸が互いにはまりあう関係を「はめあい」といい、JIS B 0401で決められている公差値を適用する場合に、穴の場合はアルファベット大文字+公差等級で指示する場合、はめあいに設定ます。
(軸の場合はアルファベットは小文字)
はめあい(公差のみ)
はめあいの設定では、はめあい記号のみなので、加工側で公差表をしらべる作業が発生する。
加工側では公差値のみが必要なので、その際には、はめあい(公差のみ)に設定します。
通常はめあい公差の数値は小数点3桁で設定されているので、ソリッドワークスの設定で通常小数点表記を2桁以下で設定している場合は、公差の小数点表記を3桁に切り替える。
はめあい公差
はめあい(公差のみ)の場合、ほかの設計者が見た場合、はめあい関係の有無が判別しづらい。
はめあい記号と公差値を両方表記すると設計者にも加工者にもわかりやすい図面になる。両方表記させる場合は、はめあい公差に設定します。
寸法数値の文字高さと公差の文字高さ
JIS B 0001は、機械製図全般の規格を定めたものだが、公差(JISでは許容差)についての表記はありません。
公差についての規格は、JIS B 0401にはめあい公差に関する規格、JIS B 0420にそれ以外の公差の表記方法の規格が定められていますが、文字高さに関する表記はありません。
JIS B 0001の文字の高さに関する内容を抜粋すると
7.1.2 文字高さ
文字高さは,次による。
a) 文字高さは,一般に文字の外側輪郭が収まる基準枠の高さ(h)の呼びによって表す。漢字,平仮名及び片仮名の文字高さは,JIS Z 8313-10に規定する基準枠の高さ(h)で表す。また,ラテン文字,数字及び記号の文字高さは,JIS Z 8313-1に規定する大文字の高さ(h)で表す。
b) 漢字の文字高さは,呼び3.5 mm,5 mm,7 mm及び10 mmの4種類とする。また,仮名の文字高さは,呼び2.5 mm,3.5 mm,5 mm,7 mm及び10 mmの5種類とする。ただし,特に必要がある場合には,この限りでない。 なお,既に文字高さが決まっている活字を用いる場合には,これに近い文字高さで選ぶことが望ましい。
c) 他の漢字及び仮名に小さく添える“ゃ”,“ゅ”及び“ょ”[よう(拗)音],つまる音を表す“っ”(促音)など小書きにする仮名の文字高さは,この比率において一般に,0.7とする。
d) ラテン文字,数字及び記号の文字高さは,呼び2.5 mm,3.5 mm,5 mm,7 mm及び10 mmの5種類とする。ただし,特に必要がある場合には,この限りではない。
となっており、一般的に寸法数値は文字高さ3.5mmを採用している場合が多い。
JIS Z 8317-1に公差の文字高さの表記があり、抜粋すると
6 公差記入要素
6.1 一般事項 寸法公差の表示は,次のように指示する。 公差域クラスの記号及び寸法許容差を示す数値は,寸法数値と同じ大きさで書く。これらは,寸法数値の大きさよりも1サイズ小さくしてもよいが,2.5 mmよりも小さくならないようにする。
となっており、1サイズ小さい文字高さを公差に設定することができる。
3.5mmの1サイズ小さい文字高さは、2.5mmとなります。ちなみに3.5×0.7≒2.5となる。
公差が1段の時は、一般的に寸法と公差の文字高さは同じにするが、
2段の時には、公差を小さくする場合がある。JISの規定で拗音・促音を0.7倍にしていいことになっているので、少し小さくする。
ソリッドワークスでは、寸法を選択し、「その他」のタブから、公差フォントのスケールを調整する。
左図は、はめいあい公差の設定時の表記なので、上下許容差の設定の時は、若干表記が異なります。